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今期への思い〜第55回定期大会挨拶骨子〜

皆さん、ご安全に! 
 
 2019年12月8日、中国の湖北省・武漢市の保健機関により原因不明の肺炎患者が初めて報告されて1年と10カ月、新型コロナウイルスの世界的規模の感染拡大(パンデミック)による世界経済への影響は、2007年9月のリーマンショックに連鎖した世界金融危機の時よりも大きなものとなりました。
 コロナ対策としてロックダウンをした国は30ヶ国以上におよび、総人口でいえば約35億人、インドと中国だけで約29憶人ではありますが、世界の人口が約78憶人ですから、単純計算で世界の約45%の人々が経済活動の自粛を強いられたことになります。長期化する世界的規模のパンデミックは、社会の様相を一変させました。日本においても、雇用と賃金・労働条件が脅かされ続けており多くの労働者とその家族を直撃しています。
 更に、コロナ感染により病院以外の自宅等で亡くなった人が800人を超えています。

足元のコロナ禍という国家的危機を克服し、真に働くもの・生活者の目線での安心社会を実現してくためには、この秋の衆議院選挙、来年7月の参議院選挙と続く国政選挙は極めて重要なものとなります。残念ながら、一気に政権交代へ という様な状況は望めませんが、現政権に対峙しうる政治勢力の伸長を果たし、再び緊張感のある政治体制を取り戻さなければなりません。
 衆議院の選挙区選挙では「吉良洲司」さん、参議院比例代表選挙では「村田きょう子」さん、の当選に向けて、今から触れる産業政策、政策制度諸課題の改善と合わせ、組織が一丸となって取り組む重要性を改めて訴えておきたいと思います。

鉄鋼業界の足元の最大の課題は、温室効果ガスの削減・カーボンニュートラルへの対応であることは論を俟ちません。政府が昨年12月、2050年に温室効果ガスの排出を実質ゼロにするという目標を打ち出しました。その時、鉄鋼連盟が掲げていた目標は「2100年までの実質ゼロ」で政府目標の50年先でした。それまで、鉄鋼業界は世界的に気候変動への危機感が高まる中、脱炭素に慎重な姿勢をとっていたのは事実です。しかし、政府が、脱炭素に向けた実行計画を取りまとめ、技術開発を進める方針を示したことで、日本全体の二酸化炭素排出量の13%を占める鉄鋼業界も対応を迫られました。
その結果、今年2月、鉄鋼連盟は目標を2100年から2050年へと一気に50年前倒ししました。これを受けて3月、日本製鉄も2050年までに二酸化炭素の排出量を実質ゼロにするという目標を初めて示したことは、ご承知の通りです。具体的にどのようにして、実質ゼロを達成するのか。会社が、実現への切り札と考えているのが、世界中のどのメーカーもまだ実現していないという2つの製鉄技術の開発です。

1つは、新しい「電炉」の技術開発。もう1つの技術が、石炭から作るコークスの代わりに、水素で鉄を作る方法ですが、こうした新しい技術の実用化には大きな課題があります。
全く新しい設備の建設など巨額の投資が必要になるということです。会社は、実現に向けては5兆円規模の費用が必要としています。とりわけ、水素を活用した技術の研究は、「アルセロール・ミタル」や「中国メーカー」でも開発が進められており、まさに、各国の鉄鋼メーカーによる開発競争の様相を呈しています。海外メーカーとの新たな開発競争に打ち勝つためには、国のバックアップは欠かせません。政府は、脱炭素について、国際公約的な打ち出し方をしましたが、鉄鋼業界のイノベーション無くして、その実現は不可能です。

さらに、海外進出も鉄鋼業界としての課題と言えます。
人口減少社会に突入した中で、国内の鉄鋼需要はこれから増えるとは考えにくく、生産量を伸ばすには伸びる海外の需要を取り込むしかありません。余談ですが、電炉は、電気料金の安い海外で生産を進めたほうが良いとの話もあります。カーボンニュートラルと海外進出という二つの課題に、うまく対応することができれば、鉄鋼業界の成長はまだ期待できると思われます。

 鉄鋼メーカーの足元の業績は、V字回復しています。新型コロナにより世界経済は一時的に落ち込んだものの、今年になって急回復し、とりわけ自動車や電気製品などの製造業が好調となり、その材料として必要な鉄鋼の需要が急増しました。こうした中で、会社としては、2021年度は3700億円という過去最高の黒字となる見通しを発表していますが、東南アジア地域での新型コロナウイルス・デルタ株の感染再拡大の影響や原料炭価格の高騰、更には中国経済の先行きなど、懸念材料が多いのも事実です。

さて、第27期の活動については、長きにわたって、「安全・健康なくして職場の活き活きなし、職場の活力なくして企業の発展なし、企業の発展なくして雇用と生活の安心・安定なし」という好循環の考え方を基に活動を進めてきています。今期も、そのベースは変わりません。

私たちの雇用の礎である日本製鉄は、本年3月に2025年度以降に本格化するゼロカーボン・スチール投資等も見据え、健全な財務体質を確保すべく、国内製鉄事業の再構築を始めとしたグループとしての「中長期経営計画」を打ち出し、計画の初年度となっています。計画の策定経過等を踏まえれば、九州製鉄所・大分地区の担うべき役割は重みを増していると言っても過言ではありません。将来に亘りこの大分の地で、私たちの雇用と生活の安心・安定を確保していくためには、全社リーディングミル大分としての役割発揮の継続が必要不可欠です。
安全・安定操業はもちろん、製造実力・生産性の向上等、製造現場の約7割を担う関連・グループを含めた大分地区としての総合力の強化・発揮が求められます。計画実現のカギを握るのは「職場・人」であることは言うまでもなく、組合員はもちろん全ての働く仲間とその家族が、大分地区で働ける喜びを感じることが出来る魅力・活力ある大分づくりに向けて、関連・グループ労組に集う仲間と緊密な連携を図り、職場・組合員の明日への活力発揮と会社発展の好循環の創造につなげていきます。
その際、忘れてならないのは、「安全と健康第一」ということです。
家族を含めた幸せは、職場の安全無くしてはあり得ませんし、仕事が理由でメンタルダウンするようなこともあってはなりません。働く仲間の心身ともの安全・健康のため、関連・グループ労組とも連携し、労使一丸となった安全衛生活動に、労働組合の立場から積極的に参画していきます。

 先ほども触れましたが、私たちは好循環の理念の基に運動を進めています。春季取り組みにおける労使交渉については、鉄鋼産業・企業を取り巻く状況や、その下での職場状況と組合員ニーズ等を見極め、
「好循環・人への投資・賃金改善」の流れを創り上げていきます。

職場の労務構成は、新卒と社会人採用、操業・整備職場への女性の配属増加、18歳からシニア雇用者まで、多様な状況となっています。また、10月以降は呉地区からの転勤者の受け入れも始まります。これらは、職場状況や組合員意識の変化にもつながっていくことを意味しています。
大分労組は、この間、「ダイバーシティ推進」に取り組むことを確認し、対策を検討してきており、検討経過を踏まえた具体的な対策を推進していきます。いずれにしても、労働組合として、そこで生じている課題を的確に把握し、改善・解決していくこと、また、その結果を確実にフィードバックすることで、信頼され活用される労働組合となる、好循環の活動を展開していきます。
そのためには、本部・支部役員の対応力の強化を図る必要があり、教育・研修活動の充実も図りながら、「職場の声なき声」も捉えることのできる組織となるべく人材育成を進めていきます。役員体制に関して言えば、今の時代、ジェンダー平等の観点は欠かせません。女性組合員の単組役員としての活用は必要不可欠と言えます。非専従配置による執行委員への登用を含め議論を深めたいと思います。

また、労働組合はもちろん職場の元気の源である、青年女性層は、大分労組組織人員の4割を超える状況となっています。その活動が、職場の活力発揮に繋がりますし、労働組合の次代を担うリーダー育成にもつながります。私自身も青年女性部活動がきっかけで、執行委員になる決意をした経過があります。青年女性部活動に対する皆さんのご理解とご協力をお願いしておきたいと思います。

最後になりますが、
大分労組は、1971年の11月3日に発足しました。本年11月に結成50年を迎えます。諸先輩が製鉄所の建設・操業と同時に組合結成の準備を進め、その礎を築いていただきました。時を重ねた半世紀、変化する環境に対し、緊張と信頼の労使関係のもと、数多くの試練を乗り越え社の中核としての位置付けを高めてきました。
また、労働組合として積極的に人材派遣も行いながら、産業別・企業連や地域労働運動における重要な役割も担ってきたところであり、足下では、基幹労連に神田中央執行委員長を送り込むまでに至っています。

結成40周年記念史の表紙には、当時の組合長であった神田中央執行委員長の強い思いを受けて記した「明日のために今」という言葉があります。年史編纂の担当者だった私が、組合長の了解を得て「Now for tomorrow...」と若干、アレンジをしてしまいましたが、そこに込められた思いについて、
 その根底にあるのは、「組合員とその家族の幸せ追及」です。次なる代を見据え、将来に向けた運動の礎を創り上げていく。「明日のために今」成すべきことを強く意識し、具体行動に移し、後輩に引き継ぐことを約束するとの思いが込められていました。この思いは、50周年を迎えた今も、しっかりと引き継いでいかなければならないと思っています。

今後もしばらくはコロナ禍により、運動・活動に大きく制約を受けることも懸念され、変化への対応力が求められることとなりますが、諸先輩の偉業に学ぶことはもちろん、職場を原点に「一致団結・英知結集」をし、新しい時代の労働運動を切り拓いていくことに注力して参ります。
ご安全!


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